*そのに
「どうなってるのよ、一体・・・。」
なんとか舟は持ちこたえた様だが全身ずぶ濡れでとてもいい状態とは言えなかった。
---- 今の明かりは一体・・・?
眩しさの為見えなかった目が徐々に慣れて辺りが段々ぼやけて見える。
水面には何故かゼロスが3つの物体を伴い現れた。
「・・・なにやってんのよ・・・こんな所で。」
いかにも鬱陶しそうな口調でリナはゼロスに問いかける。
「いやーーーー。ちょっと退屈だったもので。
そしたら丁度ゼルガディスさんが漂っているのを見かけたので少し遊ばせて頂こうかなあと思いまして。」
悪びれないそぶりでにっこりと笑いながらゼロスは答える。途端、皆の顔が厳しく変わりゼロスを睨み付ける。
「で、何をしたいわけ?」
こういう交渉役はもっぱらリナの役目だ。ゼロスは皆の負の感情を食べつつ怪しく微笑みながら指を鳴らす。
その音に反応して3つの物体・・・ゼルガディス達が目を覚ます。そして同時に、
「どうなっているんだ、一体!?」
と個々に騒ぎ出した。
---- ふ、このうちの2体は本物を忠実に複製したコピー。手を出せない歯がゆさの感情をじっくりと頂かせていただきますよ。
しかしゼロスがいくら待てども負の感情は全く流れては来なかった。ゼロスは疑問に思い、各個人の様子を観察することにした。
まずはアメリアさん、
「ゼルガディスさんがいっぱい〜〜〜♪
これで正義の名を更に強力に広められますよね♪」
「・・・なんで俺が一緒に正義を広めねばならんのだ・・・。」
アメリアに何も無駄なことを悟っているせいか、ゼルガディスはただ一言愚痴をこぼしただけだった。
「・・・アメリアさんはお子さまですねぇ・・・。」
その様子を見てゼロスもぼそりとつぶやいた。
次にガウリイさん、
「ゼルって二人も兄弟いたのか。
誰が兄ちゃんだ?しかしまた派手な兄弟だな・・・。」
「・・・・・」
ガウリイのボケっぷりにゼルガディス流石に言葉を無くしたようだ。
「・・・ま、ガウリイさんですしね。期待はしていませんでしたが・・・。」
残念そうにゼロスはその光景を見ていた。
最後にリナさん、
「金のゼル♪銀のゼル♪
これは高く売れるわね〜〜〜〜♪
ゴーレムも入ってるから置物としても使えそうだし、そうだっ!!!
そして呪文も使えるからボディガードとしても使えるし、まさに動くアイテムよねっ♪♪♪
石のゼルは・・・まあこれはこれで使えるけど価値は低いわね・・・。」
「人を見て何勝手に売り飛ばす計画を立てているんだ。」
「俺の価値が低いとはどう言うことだっ!!!」
各ゼルガディスの抗議を物ともせず、皮算用を始めていた。
「・・・リナさんは・・・・。」
ゼロスはただ呆れるしかなかった。
「この様子ではゼルガディスさんの負の感情しか頂けないようですね・・・。
ちっとも楽しめませんし、時間の無駄だったようですね。」
ゼロスは早々に見切りを付けアストラルサイドに帰っていった。
リナ達がその事に気が付いたのはしばらく立ってからの事であった。
金のゼル・・・価値は高いがちょっと柔らかい。
銀のゼル・・・価値は高いが手入れがめんどくさい。
石のゼル・・・丈夫だが安っぽいのが玉にキズ。
しばらくして動くアイテムとして世間を騒がせたそうな。
「いっやーーー売り飛ばしても戻ってくるのよねーーー♪
ほんとに便利なアイテムよね♪(はあと)」
「俺はアイテムじゃない・・・・。」
------落ち無しEND
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