生きるために

 作者 dbt
 

*そのいち

「どうなってるのよ、一体・・・。」
なんとか舟は持ちこたえた様だが全身ずぶ濡れでとてもいい状態とは言えなかった。
---- 今の明かりは一体・・・?
眩しさの為見えなかった目が徐々に慣れて辺りが段々ぼやけて見える。
「あんた・・・何者だ?」
ガウリイの声が聞こえる。
目を擦りながら声のする方向を見ると、リナは自分の目を疑った。思わず辺りを見回すと呆然とある一点を見つめていた。その視線の先には水面に浮かんだ妖しげな人物が立っていた。どう妖しいかというと・・・まず本人が発光している。後、服がひらひらのびらびらでとてつもなく動きにくそうだ。
「これを落としたのは汝らか?」
ガウリイの問いに答えもせず、妖しい奴はふと水面に手をかざすと水の中から固まりが出てきた。
よく見るとゼルガディスらしい、でも何かが違う。
「ゼルはこんなに派手じゃないぞ。」
ガウリイはその固まりを見て答える。すると妖しい奴はまた水面に手をかざし水の中から別の固まりを取り出した。やはりゼルガディスの様だがまだ何か違うように思える。先程の明かりは思ったより強力だったようでリナの目はまだ完全には回復していなかった。アメリアは状況が把握できないのであろうかまだ同じ一点を見つめたままだ。
「髪の毛は確かにこんな感じだったとは思うんだが・・・。」
ガウリイはまたしても納得がいかないような感じで答える。変な奴は不意にふと微笑んだ、その瞬間妖しい奴にまとわりついていた明かりが消える。そして水面に両手をかざし何か呪文のようなものを唱えだした。
先程ガウリイが『ゼルではない』と答えたもの。
そのうちの一つは金色にまぶしく輝いていた。
もう片方は銀色に穏やかに輝いていた。
これだけの金と銀があれば当分生活に困らないっ!!!リナの目が輝いたとき目の前高くに固まりが出現する。
「・・・ああ、本物のゼルだ。」
ガウリイがそう答えると、その固まりはガウリイの腕の中に落ちてきた。
「・・・・重いぃぃぃっっっ!!!」
ガウリイは顔をしかめながらも何とかゼルガディスを抱えていた。そんな状況にも関わらずアメリアが感激の余りガウリイに突進していった。
「ゼルガディスさんっっっ!!!」
アメリアの激しい突っ込みにガウリイはとうとうバランスを崩してしまい舟に倒れ込んでしまった。
「・・・汝らの正直な心しかと見せて貰ったぞ。
 これからは間違っても二度と落とすのでは無いぞ。」
うんうんと頷きながら妖しい奴は水面に沈んでいく。
「あ、あの金のゼルと銀のゼルはどうなるんですかぁっっっ!!!」
リナは空中に浮かんだままの金色と銀色のゼルガディスを模した物を指さす。
---- せっかくのお宝をぉぉぉ〜〜〜っっっ!!!
呼び止めたのはリナの欲望以外の何者でもない。
その呼びかけにぽんと手を叩き、
「おお、汝らの正直な心に対しての褒美じゃ、
 受け取るがいい。」
妖しい奴は物体に手をかざすと金と銀の物体はゆっくりと舟に降りてくる。
「では、さらばだ。」
そう言い残してぶくぶくと沈んでいった。
「おったかっらさ〜〜〜ん♪(はあと)」
ゆっくりと降りてくる物体に手を伸ばしリナは喜びを噛み締めていた。その様子をガウリイ達3人は呆れて見ていた。ふとゼルガディスが我に返り、
「おい、ちょっと待てリナ。」
「このお宝はあたしの物だからね、分け前なんてあげないから♪」
ゼルガディスの言葉を遮り、無事降りてきた金と銀のゼルを抱えようとして、リナはこけた。
「重いぃぃぃぃ〜〜〜〜っっっ!!!」
「遅かったか・・・」
ゼルガディスが気が付いたときにはもう遅かった。
石のゼルガディスでも充分重いのに、こんな小さい舟で更に追加で金と銀のゼルガディスを運べるはずは無いのだった。

 ぶくぶくぶく・・・・。

リナがこけたと同時に舟は重みに耐えきれず沈んでいった。


人生って本当に油断できないものなのよね・・・。
幸せだったと思ったら急に不幸がやってきたり、
でもあたしは生きることを辞めたりしない。


そう言う問題じゃないだろ?リナ。
本当ですぅ。(じろ)
全く、本当に・・・・。


てへっ♪

-------意味無しEND(爆)


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